診療案内
一般小児科
保育園や幼稚園などの集団生活が始まると、さまざまな感染症にかかり、体調を崩すことが多くなります。免疫を付けていく過程としては必要なことですが、こどもは症状を正確に訴えることが難しく、症状が急激に進行することもあります。些細な症状でも構いませんので、ご心配であればお気軽にご来院ください。
発熱
熱は37.5℃以上を発熱、38.0℃以上を高熱と定義されます。体温は腋窩(わき)で接触式の体温計で測定することが推奨されます。おでこなどで接触させずに計測する紫外線タイプの体温計は、正確に測定することが難しく医療機関のみで推奨されます。
発熱はこどもの体がウイルスや細菌などの病原微生物と戦っている証拠であり、熱自体が悪いわけではありません。熱が高いことで、頭痛や倦怠感、食欲低下などが引き起こされることが問題なのです。解熱剤の使用は体温計の数値で判断するのではなく、お子さんの具合で判断することをお勧めします。
ただし、生後3か月未満の乳児早期の発熱は注意が必要です。予防接種もまだ十分に進んでいない状況での感染症は重篤化する可能性があり、院内での検査結果次第では入院できる病院へご紹介することになる場合も少なくありません。
風邪症候群
鼻水、咳、のどの痛み、頭痛、発熱などの症状がみられるのを風邪症候群といいます。ほとんどの場合、原因はウイルスによるもので、その種類は200種類以上と考えられています。ウイルス感染に抗菌薬は効果がありません。痰や鼻水などの気道の分泌物(ゴロゴロ、ゼロゼロ)がある時は、むしろ咳はした方が良いです。気管に流れ込んだり、溜まっている分泌物を外へ出そうとする生体防御反応が咳なのです。
排痰を促したり、気管支を広げてあげるようなお薬や気道の炎症を抑えるお薬を中心に処方します。ただし、症状が長引く場合や全身状態が悪い時などは、途中から細菌感染を合併している可能性があるため、その場合は抗菌薬が必要と判断することがあります。
消化器症状(腹痛、嘔吐、下痢、便秘、血便)
こどもの感染性腸炎(腹痛、嘔吐・下痢)の原因はウイルスによるものが多く、風邪と一緒で抗菌薬の効果はあまり期待できません。嘔吐や下痢といった症状は、感染源や有害な物質を体の外へ排出しようとする生体防御反応と言えます。しかし、食事や水分が摂れない状況が長期続くときは、制吐剤の処方や場合によっては点滴を行います。こどもの腹痛の原因として最も多いのは便秘症ですが、その他にも腸重積や虫垂炎、鼠径ヘルニア、精巣捻転、卵巣捻転といった各年代に好発する緊急を要する疾患が多々あります。精査や外科的な介入が必要と判断した場合は大きな病院へご紹介します。
皮膚疾患(発疹、湿疹、蕁麻疹、おむつかぶれ、虫刺されなど)
こどもの肌は刺激に対し敏感で、大人よりも水分を失いやすく乾燥しやすい皮膚をしています。おむつかぶれや虫刺されが酷い場合は、ワセリンなどの保護剤やステロイド軟膏を処方します。乳児期からの湿疹がなかなか治らない場合はアトピー性皮膚炎の可能性もありますのでお気軽にご相談ください。処方とともにスキンケアの指導も行います。
その他
軽い外傷(やけど、頭をぶつけた、擦り傷、切り傷)、肘内障(肘の脱臼)、発達の遅れ、低身長、夜尿症(おねしょ)など、気になることがあればお気楽にご相談ください。
当院で行える検査
- 血液検査
- 感染症の状態や全身状態の確認をします。
- 各種迅速検査
- インフルエンザA/B、新型コロナウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス、アデノウイルス、溶連菌、マイコプラズマ、ノロウイルス、ロタウイルスの検査が可能です。
- 尿検査
- 採取した尿を検査します。まずはろ紙での検査を行い異常が疑われれば、遠心後に顕微鏡での検査も行います。
- 超音波検査(エコー検査)
- 首の腫れやお腹の評価に使用します。
- レントゲン検査
- 肺炎や扁桃腺腫大・アデノイド肥大などの評価に使用します。
アレルギー科
近年、アレルギー症状で悩んでいる人の数は増加し続けており、今やおおよそ2人に1人が何らかのアレルギー疾患を有しているとされています。こどものアレルギーは、乳児期の湿疹からはじまり、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、気管支喘息、アレルギー性鼻炎・結膜炎と成長していくにつれてさまざまな症状を引き起こしていく可能性があります。
当院ではアレルギー専門医がアレルギーで悩むお子さんやご家族のサポートをさせていただきます。ちょっとした疑問や不安もお気軽にご相談ください。
アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、増悪と改善を繰り返すかゆみを伴う湿疹を主症状とします。ご両親やごきょうだいにアトピー性皮膚炎の方がいなくてもお子さんに発症する可能性はあります。乳児期に湿疹が頭や顔・首からはじまり、体や手足にも広がっていくケースが多いです。アトピー性皮膚炎は、湿疹の増悪と改善の繰り返しが1歳未満では2か月以上、1歳以上では6か月以上にわたって継続している状態と定義されます。また今では、生活環境に存在するアレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)がアトピー性皮膚炎のカサカサとした皮膚の隙間から体内に侵入することで、食物アレルギーなどのアレルギー疾患の引き金となると考えられています。つまり、お肌を正常にツルツルに保っておくことが、そのほかのアレルギー疾患を予防することにつながるということになります。
保湿剤によるスキンケアに加え、抗炎症作用を有するステロイドや非ステロイドのぬり薬をうまく組み合わせて治療を行います。最終的には、保湿剤だけでツルツルなお肌が維持できることが治療のゴールとなります。
食物アレルギー
最も一般的な食物アレルギーは、特定の食べ物に対して体が過剰に反応してしまい、皮膚が赤くなったり、痒みを伴うじんましんが出たりします。症状が酷い場合は、咳が止まらなくなったり、腹痛や嘔吐・下痢といったお腹の症状や、元気がなくなりぐったりしてしまうこともあります。その他にも食物アレルギーと呼ばれるものの中には症状の出方によってさまざまなタイプが存在します。乳幼児に特有の嘔吐や下痢、血便などのお腹の症状しか出ないタイプや、フルーツや野菜を生で食べると口の中がピリピリ、イガイガするタイプなど、それぞれ治療法・対処方法が異なります。原因の食べ物は何なのか、どのタイプの食物アレルギーなのか、正確に診断するためには症状が出たときの状況を事細かく確認させていただく必要があります。そして、血液検査を行い、原因と考えられる食べ物を特定します。
一般的な食物アレルギーの治療は、症状が出ない範囲の量で少しずつ摂取を続けていくことが重要となります。アレルギーの原因である食べ物を少量でも食べて体内に取り込むことで、次第に体が過剰な反応を起こさなくなることが目的です。アレルギー症状が出ない安全な量を見極めるために院内で食物経口負荷試験を行うこともあります。
気管支喘息
気管支喘息は、気管に慢性的な炎症が起きており、空気の通り道が狭くなって、息をするときに「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった喘鳴(ぜんめい)が聞こえ、呼吸が苦しくなったりします。風邪を引くことで症状はさらに悪化しますが、ダニやほこり、動物の毛などのアレルゲン(アレルギーを引き起こす物質)やタバコの煙や冷たい空気などの環境の刺激が気道に入り込んでも症状は悪化します。
治療には、「普段から気道の炎症を抑える治療」と「症状が悪化したときの治療」の2つがあります。気道の炎症を抑えるためには、しばらくの間ステロイド薬の吸入を行います。症状が悪化したときは、狭くなった気管を広げてあげたり、炎症を抑えるお薬を吸入・内服します。また、環境整備(お布団やお部屋の掃除、家族の禁煙など)もとても重要な治療のひとつです。
アレルギー性鼻炎・結膜炎(花粉症など)
アレルギー性鼻炎・結膜炎はアトピー性皮膚炎や気管支喘息に合併することが多い疾患です。近年、アレルギー性鼻炎の症状があるお子さんの増加と発症の低年齢化が報告されています。主な原因はダニ(ハウスダスト)、花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、オオアワガエリなど)、ペットの抜け毛やフケ(犬、猫)などです。
治療は、アレルゲンの除去、暴露の回避が基本となり、症状に対して抗ヒスタミン薬や目薬、点鼻薬などのお薬を処方します。また、根本的な治療として、「舌下免疫療法」があります。
舌下免疫療法
- ごく微量のダニとスギの成分を含んだタブレット(錠剤)を舌の下に保持して溶かし、その後飲み込みます。1日1回毎日の内服が必要で3~5年継続することが推奨されています。アレルギー検査でダニ・スギのアレルギー反応を確認した上で治療を開始できます。当院では5~6歳くらいのお子さんからご提案いたします。もちろんご家族の方の当院での治療開始も可能ですのでお気軽にご相談ください。
生活管理指導票の作成
アレルギー疾患を持っているお子さんが保育園や幼稚園、学校での生活を安全に送るために生活管理指導票の提出を求められることがあります。アレルギー疾患で定期的に当院を受診されていたり、検査を受けられた方の生活管理指導票を作成いたします。